はじまりは最低

4/6
前へ
/40ページ
次へ
「男子バレーボール部の松谷です」 恐ろしく低い声が、唐突に壇上から降ってきた。 窓ガラスがバリバリと震えた。 松谷という先輩の凶暴な容貌に、新入生が静まり返った。 190cmを軽く超えているだろう。 今時、指名手配の写真にだって滅多にない悪人顔だ。 「瑞希、俺やっぱりバレーやめる」 「俺も考え直そうかな」 松谷先輩の部紹介は一言で終わった。 「入部すれば、すぐにレギュラーになれる特典があります」 俺と瑞希は、顔を見合わせた。 決めた。 そして、その決定は地獄への入り口だった。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

49人が本棚に入れています
本棚に追加