はじまりは最低

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「キャプテンの久保田悟です。3年。2人は中学はどこ?」 意外なことに、キャプテンは内股の方だった。 「花山中でバレーやってました、こいつも同じ」 瑞希が俺を指差した。 「花山なら県大会でいいところ行ってるね」 内股改め久保田先輩が、嬉しそうに頷いた。 「最初から教えなくていいなら楽。はい、この紙に名前書いてー」 うっかり流されるところだったが、久保田先輩はやわやわとした口調のわりに押しが強い。 「あのう、見学だけってできないんですか」 「できるよ、でもレギュラーは早い者勝ち~」 俺の脳裏では警報が絶え間なく鳴っていたが、瑞希が速攻のサインを出しているのに気づいた。 俺達はこうして、閻魔帳に自らの名前を書き込んでしまったのだった。
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