プロローグはいつだって突然。

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00 事故って、嘆いて。  世界はいつだって理不尽で不公平だ。そして不合理だ。  いきなり何だって話だ。  俺の人生観だ。  十七だか十八年生きて、俺はそう思うようになった。  大切なものは何一つ残らず消えていく。    目の前で大切なものが消えていくのをただ黙って見ていることしかできない俺はその光景に何度も立ち会っている。  初めてだったのが両親の死だ。  それなりに裕福な生活を送っていたため空き巣に入られ睡眠中だった両親は物音で目醒め、その後は言わなくてもわかる。  その次に相続問題だ。    まだ子供だった俺にすべての資産を与えるなのはダメだという大人たちの勝手な争いでお互いを殺しあった。    そして俺の血族はもう一人しか残っていない。  まだ話をしていなかったが俺には双子の妹がいた。  これまたよくできた妹だった。本当に俺には出来過ぎた妹だった。  これまた過去形。  その妹も天は無慈悲にその命を奪った。俺が妹を学校へ迎えに行く約束して。  俺が少しばかり遅れ、駆け付けたときには無残に転がったバイクと血痕。  事故の原因は飲酒運転だという。  妹は近くにいた子供を庇って死んだのだとその子供の両親がそう教えてくれた。  だからどうした。  てめぇらが感謝しようが俺の妹が死んだことに変わりはない。その子供がそんなところにいなければ妹は死なずに済んだ。  俺は飲酒運転でその場から逃走した男を探し、始末した。
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