プロローグはいつだって突然。

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 轢き逃げ犯を始末して俺の復讐は終わった。  だけど、俺には何も残っちゃいない。  ただ大切なものを失っただけ。    夢も希望もない。    復讐を遂げた俺は帰り道。  工事中のビルの真下に小さな子供がいるのが目に入った。 「……帰宅途中か?」  ギシギシと妙な音が風と共に俺の耳に届けられる。  俺は何故か上を見上げると同時に走っていた。  今思えばどうして俺は走るという選択肢を選んだのかわからない。いや考えることが出来なかっただけなのかもしれない。  夢中で手を伸ばした。  もしかしたら復讐を終え、俺は頭の中が真っ白になっていたのかもしれない。  ドン。    鈍い音。  その数秒後に待ち構えていた運命は甲高い音とともに齎された。 「……おにぃ……ちゃん」  俺が突き飛ばした子供はこちらを見て心配そうな表情をする。  大丈夫か?  俺は何故かその子供にそう尋ねていた。 「……大丈夫」  俺はダメそうだ。体から血の気が一気に引いていき冷たくなるのを感じていた。それに下半身の反応がない。  痛みというものを感じない。  視線を動かすことが出来ない俺には確認のしようがないがどういう状況なのかはある程度情報として理解している。
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