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「やだな。僕は正直に心の内を言ったまでさ」
「あんた。性格悪いだろ……てか、誰?」
「君ってさ、神って奴がいると思うかい?率直な感想を聞かせてくれ」
「いないな。そんな奴は……」
青年はいきなり話を逸らされたうえに唐突にこの質問。目に見えるはずのない偶像など誰が信じる?
青年は内心そう思いながら目の前に立つ怪しい男に睨めつけた。
「僕は一応神って奴やってんだけど。マジで」
「……んで?」
「すんませんでした!!!」
怪しい背中から翅の生えた男は地面にめり込むのではないかと思うほどの土下座を披露した。
状況が全く理解できん。
男の手元から数枚書類が落ちる。
青年は不意にそちらに目が行くと自分の写真と自分に関するデータが記入されていた。一体何故そんなものがここにあるのだろうか。
疑問を持つ。
「なるほど……別に怒ったりしねぇから土下座なんてみっともない真似はしなくてもいいぜ」
「そうか、そういってくれると有難い」
「それはそうとして俺は一体どんな不合理で殺されたんだ?」
そう尋ねると言葉を濁らす。
「……本来君は帰るときあの道を通らない運命だったんだ。だけどね、死神が君の運命を捻じ曲げてあの子供をあの場所に配置した」
「つまり、あの子供はフェイクか?」
「あの子供が死神本人さ……僕は止めたんだけどね。あの子がどうしてもそうするってきかないもんで、ごめんね」
「……もういいや。で、どうしてその死神は俺を殺したかったんだ?」
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