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窓を開け空気を入れ替えようかと思ったが、眠気が勝り服もそのままにベットに体を投げ出した。
目を瞑ると何かとても大事な事のような、あるいは全く無意味の事ような、輪郭の無い不安が頭に浮かんでは消える。
(めんどくせぇ)
思考を止め睡魔の方に神経のすべてをあずけた。
徐々に頭が麻痺し、深い眠りの向こうに導かれる。
その時、突然グラグラっと眼球の奥が震えた。
慶太は何か得体のしれないものに引き戻され、圧倒的な恐怖が津波のように引き寄せてくるのを感じた。
下唇を噛み締め、落ち着け落ち着けと何度も自分をコントロールしようとするが、そんな僅かな冷静さをあざ笑うかのように増大する恐怖心が体を支配する。
後頭部に虫が這ってるような感覚。
油断すると気を失いそうになる。次第に息が苦しくなり、目がぐるぐる回り出した。
(大丈夫、気持ちを強く持て)
そう何度も自分に言い聞かせ、鼻から大きく息をすい込み口からゆっくりと吐き出す。
体は小さく丸め、余計な刺激を受けないようにする。体制を少し変えた時の重力の変化さえも、ナイフのように体に突き刺さるような錯覚を覚えるからだ。
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