第1章 新しい場所

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「…それでは、刑事さん。検査結果なんですが、音無くんは、ショックによる記憶喪失です。症状は非常に重く、ほぼ忘れていると思って構いません。」 「じゃあ、あれか?事件については、なんも聞き出せねぇってことか。」 「そうです。それどころか、言語にも影響が及んでいます。」 「ヤバくないっすか?事件について、なんもわかんないじゃないっすか!自殺ってことで処理するんですか?」 「…わからん。先生、音無に面会できないか?」 「…そうですね。いいですよ。夕食の時にしましょう。きちんと食事をとれるか、心配なので。ただし、事件については触れないでください。非常に不安定ですので。」 「分かった。」 「…たぶん、この事件は、ただの自殺っすよね?」 「さあな。」 「えっ?なんでっすか?動機がなさそうだからっすか?」 「…刑事の勘だ。」 「なんすかそれ~。ていうか、当たったことないっすよね?その刑事の勘。誘拐事件の時とか、言ってたっすけど、ハズレましたよね?」 「…うるせえ。ほら、さっさと行くぞ。」
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