第1章 新しい場所

3/19
前へ
/45ページ
次へ
一瞬この少年が何を言っているか分からなかった。 後藤は、新垣に目配せをする。 新垣は頷くと病室を出て行った。 行くのを視界の端で捉えつつ、答える。 「警察はね、悪い人たちを捕まえる人たちのことだよ。」 すると、少年 音無は何かを思い出したような顔をした。 その表情に疑問を感じながらも自嘲する。 警察つっても、全員が全員ひとのために働いている訳じゃねぇんだよな。 警察は必ずしも正義ではない。 汚職で捕まった奴もいるし、恫喝で無理やり犯人にしたてた例もある。 胸を張って誇れないのが、残念だった。 「所詮俺が、憧れた警察ってのは人間がやっているものだしな。」 「?」 何を言っているか分からないという表情だった。 ま、そんなもんか。 「ごっさ~ん!お医者さん連れてきたよ~。」 「ごっさんって呼ぶなつっとるだろう。」 冷静にツッコむ。 また少年が反応した。
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

36人が本棚に入れています
本棚に追加