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一瞬この少年が何を言っているか分からなかった。
後藤は、新垣に目配せをする。
新垣は頷くと病室を出て行った。
行くのを視界の端で捉えつつ、答える。
「警察はね、悪い人たちを捕まえる人たちのことだよ。」
すると、少年 音無は何かを思い出したような顔をした。
その表情に疑問を感じながらも自嘲する。
警察つっても、全員が全員ひとのために働いている訳じゃねぇんだよな。
警察は必ずしも正義ではない。
汚職で捕まった奴もいるし、恫喝で無理やり犯人にしたてた例もある。
胸を張って誇れないのが、残念だった。
「所詮俺が、憧れた警察ってのは人間がやっているものだしな。」
「?」
何を言っているか分からないという表情だった。
ま、そんなもんか。
「ごっさ~ん!お医者さん連れてきたよ~。」
「ごっさんって呼ぶなつっとるだろう。」
冷静にツッコむ。
また少年が反応した。
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