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ファミレスの中は満席に近いくらい人が蠢いていた。そんな中でも何とか席を確保する。
「いや~♪今日は何時にもなく人で溢れ帰ってるね~!」
たしかに、と蓮の言葉に相づちを打つ。
料理が来るまでの時間を窓の外の風景を見て過ごす。
だが、拓也は人の流れの中に違和感を覚えた。
(ん?なんだ?)
どうやら蓮の方も違和感に気付いたらしく、俺の方を見て頷く。
違和感の正体は窓越しにすぐ目の前にいた。人混みの中に電柱に寄りかかる高校生(制服に高、という文字がかすかに見えた)がいた。
今日は火曜日。高校生に限らず学生は学校で勉学に励んでいる筈なのだが…。
「高校生、だよな?」
拓也は蓮に確認を取る。
「ああ。でも様子がおかしい…」
高校生は電柱に寄りかかったままうつ向いており、顔色もうかがえない。だが、一つだけ確かなのは、肌の色が青紫色なのだ。例えるのならば、まるで死人だ。
ーーーー
昼飯を食べ終え、会社に戻ろうとしていた結った髪をサイドにまとめた髪型が特徴的なOL、錦岡雫(にしきおかしずく)は信号待ちの最中、電柱に寄りかかった高校生に気付き、声をかけようか迷っていた。
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