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祐一のお墓には
花束が供えられていた。
普通の花束と違うのは
花が全部、まだ蕾だった。
その花束を供えたのは
亮太で、墓前に居た。
「ユウ…
この花束いいだろう
苦労したんだぜ
蕾の花束を探すのにさ
これだったらさ
他の花が枯れる頃に咲きだすから
淋しくないだろう」
亮太は手を合わせて、呟いた。
(すまん…ユウ…)
そこへ、懐かしい声が
聞こえてきた。
「お~居た!亮太だぁ!」
真吾の声だ。
「バッチリ、タカの読みどおり
亮太が居たぜ」
陽二の笑顔だ。
「お~い亮太!久しぶり」
孝弘は手を振っている。
亮太は立ち上がって
声のする方に向いた。
(あいつら…)
会いたかった懐かしさと
会いたくない後ろめたさ
その2つの感情が入り混じり
複雑な顔で、亮太は手を上げた。
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