【蒼き風景】

8/33
137人が本棚に入れています
本棚に追加
/890ページ
祐一のお墓には 花束が供えられていた。 普通の花束と違うのは 花が全部、まだ蕾だった。 その花束を供えたのは 亮太で、墓前に居た。 「ユウ… この花束いいだろう 苦労したんだぜ 蕾の花束を探すのにさ これだったらさ 他の花が枯れる頃に咲きだすから 淋しくないだろう」 亮太は手を合わせて、呟いた。 (すまん…ユウ…) そこへ、懐かしい声が 聞こえてきた。 「お~居た!亮太だぁ!」 真吾の声だ。 「バッチリ、タカの読みどおり 亮太が居たぜ」 陽二の笑顔だ。 「お~い亮太!久しぶり」 孝弘は手を振っている。 亮太は立ち上がって 声のする方に向いた。 (あいつら…) 会いたかった懐かしさと 会いたくない後ろめたさ その2つの感情が入り混じり 複雑な顔で、亮太は手を上げた。
/890ページ

最初のコメントを投稿しよう!