第1話

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俺は、素直に頷けなかった。 決して、野球が嫌いになったからでも、マウンドに立つのが怖いからでもない。 ただ、野球はしないと決めた。それだけだ。 「出倉?」 「悪い。…野球部には入らない」 吐き出すように俺は言った。 「アレがあったからか?」 俺は、答えもせず頷きもしなかった。 「アレ~“高飛車な王”さまじゃん」 不意に、呼ばれ振り向くと関西一強豪と言われている帝都中学、宮田巧がニヤニヤ笑いながら俺に近付く。 頭ひとつ高い宮田を俺は、見上げる様に見る。
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