平成ノ世

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2013年、日本 世の中は、大不況に晒され 人々が未来に希望を持たなくなって久しい時代だ。 身分の大きな格差はなく、平均的にそれなりの生活を送れるようになった。 女性が力を付け社会進出をし、独身の男女が同等の生活水準となったのは、もはや珍しくもない。 「主夫」 「イクメン」 と言った言葉が生まれ、男女平等が色濃く現れた時代だった。 それと同時に、日本は大きな課題を抱えていた。 男性と同じように、志し高く仕事に打ち込み、ある程度の地位を確率させた女性が増える一方で、未婚の女性や子供を作らない女性が増え、時代は少子化と言う大きな課題を抱えてしまうこととなった。 次世代を担う子供の存在が少しずつ途絶えて行くのを、誰もが理解しながらも、それを打開する何かは見付けられないままだった。 それは一重に、希望が見えないと誰もが決めつけた未来や、日本人としての誇りのようなものを、人々が放棄してしまったことが原因のようにも思える。 男性の力が衰えて行き、女性が強くなって行く。 それでも、自然の摂理は、いまだ女性にだけしか新しい命を宿させる権利を持たせてはくれない。 人々は、確実に自然に反発をしながら生きていた。
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