~降伏編~ しなだれ折れる

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「今、車来るから」と神原喜代美の兄が言う。 「もう二度とここには戻って来ないから、必要な物があったら持っていきなよ」と四十代半ばのカガワと呼ばれる男が言う。 必要な物……。 オレに必要なものがあるだろうか? 何も無い…。 こんなおぞましい場所から持っていく物なんて何も無い。 今まで神原喜代美を追うことに執着していたが無くなった今となっては、胸にポッカリと穴が空いたみたいで全てがどうでもよくなっていた。
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