その過去にわななき、狼狽する

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「締め付けるだけでは人はついて来ないって…」 オレはいまいち具体的なことが思い付かなかった。 「締めた手綱はたまに緩めてやらないとすぐに千切れて使い物にならなくなるって言っていた…。その時は、本当はあんたと毎日笑って酒を酌み交わしたいのにと言って泣いたそうだよ。それからオレも改めるところは改めるし我慢もする。だからあんた一回ちゃんと土下座して娘のことを謝ってくれと言ったそうだ…」 話の先が聞きたくて仕方がない。 オレは神原喜代美の兄の語尾に重なるようにそれで?と言った。
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