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その夜は寒かった。
冷気が毛布を素通りしているようだった。
窓の外は真っ暗だが、何か動いているのが見えた。
多分、風に揺れている木の葉だった。
多分というのは音で判断するしかなかったからである。
時折、神原喜代美と父親が喧嘩をしているのだろうか騒ぎ立てる声が聞こえた。
二人の声しか聞こえなかったので、カガワとツダの声は聞こえなかった。
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