余光

10/16

3595人が本棚に入れています
本棚に追加
/740ページ
心臓を吐き出すんじゃないかという圧迫感を強いられ、砂利道ではあるが普段だったらつまずくことのない道を筋肉が緊張しているのか頻繁に足に石を引っかける。 今日も風が強かった。 吹く度に体温が奪われるようだった。 家から出た時、風の強さも気付かない自分がいたことに驚いた。 これ以上怖いと思うことはないが、一方で不思議な開放感があった。 昨日、夜中じゅう手錠を掛けられ、生涯神原喜代美の思うままに生かされるかも知れないという思いから開放された充実感だと思うが、実際は一体何なのかはわからなかった。 もしかすると神原喜代美の父親に頼られ、オレにしか出来ない重要な仕事を任されたという充実感かも知れなかった。
/740ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3595人が本棚に入れています
本棚に追加