解体する作業は難儀

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何度も何度も目の前の道を通るので不審に思ったが、初めは特に気にも留めなかった。 しかし、最近、神原喜代美がゴミを出さないなと思っていた時に、高井真郷がゴミステーションからゴミを取っていたところを見てしまった。 ゴミ漁りの類いかと思っていたが、毎回毎回神原喜代美の出すゴミしか取っていかなかった。 ゴミは個人情報の宝庫である。 自分のことを考えればすぐにわかる。 携帯の請求書、電気代の紙、会社で使った紙などほとんどの人がハサミを入れないで捨てる。 そこから、名前、働いている場所、携帯番号、貯金の額、どこの店で何を買っているか、彼氏がいる場合にはいつ来ているかだいたいの日にちならば割り出せる。 高井真郷はいつも黒いヨレヨレのコートを着て、伸びきった髪に銀縁のメガネを掛けていた。 辺りを必要以上に警戒をしていて、かえって不審者をアピールしているかのようであった。
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