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レインが立ち上がり、いつの間にか外に居ることに気付き、全員が心配げにこちらを見ているのに小さく笑った。
「良かった……みんな、無事に外に出られうげっ」
「レイン! 心配したじゃないかバカぁ!!」
アーネが抱き締め言葉を発せずに締め上げられるレインに、別方向から攻撃、もとい突進が。
「お兄ちゃんー!!」
追い討ちを掛けるマルシェの抱き締めに、強い力で締め上げられる真っ青な顔色のレインを指差し、ゼオンはゴードに声を掛けた。
「オレも行くべき?」
「ははっ、最後においちゃんが突進することになってもいーならなぁ」
「それは遠慮してーわ。おーい、レインくん死にかけてるから放してやろーぜ」
ゼオンの声かけに渋々離れた二人の間で咳き込みながらレインが辺りを見渡し、騎士の気配が希薄なことに不思議がる。
「城の前なのに騎士の気配がないね? そう言えば下から何度かすごい揺れと音してたけど……」
「それならおじさんがバーンって騎士さんたち飛ばしてたです!」
「おーそんな誉めるな」
「誉めてないです!!」
「そっか、ゴードがやったんだね。騎士たくさん居たと思うのに、やっぱりすごいや!」
「おー、レインだけさなぁ、誉めてくれるのは」
ゴードが嬉しそうに頷き、「気絶させてるだけだから、今のうちに強い騎士が来る前に逃げようや」と緩く提案した。
「そうだね……ジークはまだ中だろうけど、先にミスティの所に向かおうよ」
「ミスティ、って誰だい? 友達かい?」
アーネの問いに「うん」と嬉しそうに笑うレインはふと上を見上げる。
「わぁ、おっきなドラゴンだ!!」
「ワイバーンだよ。上から落ちてきたレインくんとねーちゃんを助けてくれたんだ」
「そうなんだ! ありが」
礼を告げるレインの言葉を遮り、ワイバーンは一度1回転するように旋回し何かを掴んだ。
それからすぐにレインの真上に飛んだかと思えば足を広げ、"それ"を落とす。
「う、わ……!?」
どさ、と落とされたものに上に乗られ、仰向けのまま倒されたレインは頭を抑え顔を上げると。
自分の上に座り込んだ相手はレインへと手を差し出してきた。
「わ……私を、貴方の旅に連れて行って欲しくて……来ちゃいました」
「……でも、さっき」
「私の意思は、貴方の仲間で居たい……だから今度はこうして私から……駄目、ですか?」
「……いや、でもとりあえず」
上から退いて、と告げるとユティは慌てて立ち上がった。
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