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「アンタみたいな、性格の悪そうな女嫌いでね。断るよ」
「あら、そう。ワタクシも脳筋女が嫌いでして助かりますわ」
「っ、レイン! アンタ、友達選びなよ!」
吠えるアーネに、まあまあと宥めてからミスティーアに視線を向ける。
「ミスティは、アーネの妹さんの魔法量わかるの?」
「雑作もありませんわ。そこの脳筋女と同じく地属性で魔法量が強め、のでしたら方角が何処に行ったのか感知出来ていてよ」
「本当かい!?」
身を乗り出すアーネに、ミスティーアはせせら笑うように口元に手を当てた。
「ですが残念ですわ。ワタクシ、性格が悪いと貶されたばかりで傷付いてます。教えたくないですわー」
「っんの、アマ……!」
「待って、だったら僕になら教えてくれる?」
「レインでしたら喜んで。先程申し上げました魔法量は、レインたちが城へ乗り込む前から北へと向かっています。もう既に王都には居ませんの」
「北……? うん、ありがとうミスティ。だ、そうだよ、アーネ」
代わりに聞き出したレインに「すまないね」と溢してからキツく睨むアーネを、無視するようにミスティーアはカップに口を付ける。
「で? ねーちゃんが北に行くんだっけ? どーすんの、オレたちは」
ゼオンの問いに、「そうだね」と頷いて、レインは全員を見渡した。
「……まず、僕はみんなに言わなきゃいけない。僕が旅をしてること」
「レイン、それは」
咎めるように声を上げるユティに、レインは首を横に振る。
「良いよ……僕は、父さんを探してるんだ」
「お父さんです?」
「うん。今まで会ったことないから、どんな人かもわからないんだけど……母さんの遺言で、僕は父さんの元に行かないといけない」
「ふーん。で、顔も知らねーのに探す宛あんの?」
「だから、母さんの友人を訪ねてるんだ。きっと、知ってるかなって」
「……ちょっと待て、レインくん。旅してきて訪ねたのなんてお前……母ちゃんの友達が鉄槌の魔女!? は!? ちょっと待て、落ち着け!」
「ゼオンが落ち着いてよ……そうだよ、僕の母さんは、三大魔女の一人、煉獄の魔女ティアナだ」
「「「「!?」」」」
ユティとミスティーアを除く4人が一瞬にして表情を驚愕へと変え、レインを信じられないものを見るかのように見開きながら見詰めた。
そんな4人に「今は死んじゃったから、元、かな?」と戯けるように言う彼の瞳は悲しみが少し滲んだ。
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