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「どうしたの?」
「どうしたのって……このおじさんがついてって良いなら、あたしだってあんたらについてくよ!」
「え?」
突然の申し出に首を傾げるレインは、アーネを見据える。
「アーネは妹さんを助けに行くんだよね?」
「そうさ。でも、あたしはレイン、あんたに借りがあるんだよ。二度も助けて貰った恩返しもしないなんて性分じゃない」
「借りって、そんなの気にしなくて良いよ。たまたま僕の行動がアーネにとって都合が良かっただけで、君が恩を感じることなんてないんだ」
そう言うつもりで動いた訳じゃない、と首を横に振るレインにアーネが眉間を険しくしながら目を細めた。
「……あんた、いつも言ってるじゃないか」
「え?」
「"君がそうしたいならそうすれば良い"って。あたしはあんたに恩返ししたいのさ。それじゃ駄目なのかい?」
「……でも、アーネ。妹さんは??僕たちについてきてくれても、妹さんの元に行けるとは限らないよ?」
目的が合わないのでは、と申し出を断ろうとするが、「いいや」と言う声に阻まれる。
「そうとも限らないさ。あんた、父親探すのに三大魔女を探してるんだろ??おばばに聞いたことあるよ、おばばの知り合いの三大魔女の一人が北に居るってね」
「!」
「それで? あんたの行き先が北であたしの行き先も北ってことなんだけど……ついて行っちゃダメなのかい?」
ニッと得意気に笑うアーネに、レインは仕方なさそうに眉を下げた。
「君にはお手上げだよ……良いよ、そこまで君が言うなら」
「決まりだね」
「うん、よろしくね」
「こちらこそ。あんたらも改めてよろしく頼むよ」
アーネに一同は口々に軽く挨拶を交わしてれば、徐に部屋のドアが開き銀髪の青年、ジークフィーノが姿を現すと殆どの人間が彼に言葉を無くす。
「此処に居たのか」
「ジーク!」
友人の姿に表情を明るくしたレインが直ぐ様立ち上がり駆け寄ると、「無事で何よりだ」とジークフィーノも表情を緩めた。
「ジークのお陰でみんなを助けれたよ、ありがとう」
「礼には及ばない。俺が出来ることでお前の助けとなることなら、いつでも助力してやる」
「じゃあジークが何か困った時は、今度は僕が助ける。それで行こう!」
「それは頼り甲斐がある、楽しみにしていよう」
親しげな仲を窺える二人の会話を聞きながら、恐る恐るユティが「あ、あの、レイン……」と声を掛ける。
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