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「騎士の人達が僕らを捕まえるってこと?」
レインの問いにジークフィーノは頷き返した。
「……王城への侵入、並びに捕虜脱獄・幇助……あまり軽い罪状では無い。仮にもこの国の王が身を置く城だ、顔を合わせなかったにしろ、捕獲されれば只では済まないだろう」
「そっか……じゃあ、僕らを助けてくれたジークやミスティも……」
「俺なら気にすることはない」
「え?」
「それに捕虜とされていたお前の仲間たちは、表沙汰にされていない。誰の命かは知らないが、捕虜の存在が王へ知られれば"頭が痛い"のは向こうだからな、それを明らかにされてまで俺に噛み付いてくるまで無能では無いだろう」
「?」
話が見えず首を傾げるレインに、「お前達は此処から逃げ出すことだけを心配してくれ」とジークフィーノは続ける。
「王都の出口は4つ、それぞれ門番が控えている。顔が割れてしまえばパスを持っていてもその場で捕獲されるだろう」
「おー、おいちゃんパス持ってねぇなぁ」
「あたしもだよ、連れて来られただけだしね」
「マルシェもここ2回目ですけどどっちも捕まってたので持ってないです! 前はおじさんが出してくれてお兄ちゃんたちと出れましたです!」
「……門は駄目だね」
「その様だな」
仲間の半分が門をクリア出来ない状況で頭を悩ませるレインに、ミスティーアが徐に立ち上がった。
「でしたら、上から出たらよろしいのではなくて?」
「上、って?」
「上は上ですわ……ちょうど、お客様が見えたようですし」
「お客様?」
「こちらですわ」
さっさと部屋を出るミスティーアにレインがジークフィーノを見遣るが首を横に振り返される。
そこでユティが「あ」と小さく声を上げた。
「この魔法量……どうして」
「ユティ? どうしたの?」
「いえ……そう、ですね……手を借りられるならば、言葉の通り上から出られます」
「どーゆーこと? オレらフツーの人間は魔法量なんて読めねーんだけど、何が来た訳?」
嫌味を含むゼオンの問いに、ユティが「……ミスティーアの後を追えば分かります」と返したのを聞き、こんな時に好奇心を燻られたレインは「行こうよ」と全員に声を掛ける。
「4つの出口が駄目だけど、まだ出られる可能性があるんだ。僕は行くよ」
レインの言葉に全員が書斎を出れば、部屋の主が廊下で「何をしてますの?」と睨み、全員を確認し「こちらですわ」と再び歩き出した。
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