方針と意思

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「ねぇ、ユティ」 「あ、は、はい!」 レインは地図から顔を上げ声を掛け、ユティが慌てて返事をするのを確認し頷く。 「アーネの妹さんの魔法量は、ユティには分かる?」 「そ、そうですね……ミスティーアのように個別して遠くまで感知出来ませんが、妹さんの魔法量は一度イール山脈で知りましたので、近付けばどのような属性、魔法量かは分かります。それで特定することは出来ますが……」 「じゃあ、何か分かったら教えて」 「はい」 再び頷きレインが地図を仕舞うと、マルシェがユティに「マルシェも魔法量分かるようになりたいです!」と絡んで困らせていた。 それを見ながらゼオンがやれやれと言った様子でレインに声を掛けてくる。 「一先ず北、ね。とりあえず何処向かったかもわかんねぇし、行く先々の町とか行ってみようぜ」 「そうだね。そう言えば、ゼオンは目的があるんだよね? 北に行っても大丈夫なの?」 「あぁ、それ? オレは、魔女が居そうなとこ行ってるから別に構わねぇよ。北にも居るし、それこそフェインクットに行くってことになりゃあ、"大司祭様"が居るし、最悪その人訪ねりゃ分かりそうだな」 「"大司祭様"?」 「あぁ、リューネから聞いたことあるよ。フェインクットって宗教の国とかで、そこのお偉いさん、大司祭様とか言う人がとんでもなくすごくて、どんな難病もあっと言う間に魔法で治してくれるんだってさ」 会話に加わってきたアーネに関心するように目を丸くしたレインは「すごいね」と笑うのに対し、「噂だから尾ひれ付いただけかも知れないけど」と苦笑が返ってきた。 「でも魔法でってことは、その大司祭様って人、魔女なの?」 「さあな、普通の人間じゃねぇのは確かだけど」 「回復唱術? 治癒魔法? だっけ? それって光属性なの?」 「回復唱術は光、治癒魔法は地属性だね」 「何が違うの?」 「回復唱術は回復力と威力、治癒魔法は広範囲で平等に癒す……だったかな? 回復が早いのが光でゆっくりじわじわ癒すのが地だったはずだよ、おばばの受け要りだけどね」 「ふーん。じゃあ、地属性で光属性の人が居たら凄そうだね」 「ははは、そうだねぇ。回復唱術と治癒魔法は別だけど、どっちも同時に使えたら凄そうだ」 などと会話をしてれば、マルシェの問い質し困り果てただろうユティが「そ、そろそろ出発しませんか」と逃げるように提案してきたので、一同は北へと向かうこととなった。
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