崩壊した日

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少女はおずおずとしながら辺りを見渡した。 本来なら、三大魔女の居場所はタブー。それを漏らすこととなると二人の他は無人で無ければならない。 他に人間の魔法量を感じないのか、少女は俯きながら呟く。 「王都を基準に…貴方のお母さんである煉獄の魔女は、東……鉄槌の魔女は、西……祝福の魔女は、北……と言うことしか、私は知らないんです……」 「方角……だけ? じゃあ、どうして、ここに?」 「方角がわかれば……その、三大魔女は人を寄せ付けない場所に身を寄せてます、から……」 「つまり……人が立ち入らなさそうな場所をしらみ潰した、ってこと?」 「はい……東にはシーブがあると文献にありましたので」 「文献……」 王都と呼ばれる場所では、自分の生まれた場所は文献にしか載っているだけか、とレインは少なからず落胆する。 しかし、方角……とレインは思案し、三大魔女の呼び方に注目した。 「鉄槌と祝福……煉獄、みたいに属性が分かりやすくないんだね?」 「そ、そうですね……でも、その四大属性である、炎、水、雷、地の内、水以外が三大魔女の属性と聞きます……」 「水以外?」 「はい……あの、水の属性は魔物には多いのですが、人間には稀少でして……まず水の方は居なく、居たとしても…魔法量は微々たるもの、と聞きます」 「そう、なんだ……」 自身が水属性であるレインは腑に落ちない返事をし、同時に自分が何処まで異常なのかと密かに身震いする。 「(でも……稀少でも、僕は魔法量はそんなにない、よね?)」 母はそのことに一切触れなかった。 元々、レインの前では魔法の話を何処か避けていたティアナを思い出し、悼む。 しかし、これで三大魔女の属性は割れたことになる。 「じゃあ……三大魔女の二人の属性は雷と地なんだね。そして王都の西と北……か」 どちらかを訪ねれば、父の情報を得ることが出来るのだろうか。 ボスウルフの背から降り、レインは少女と対峙した。 「教えてくれて、ありがとう。君にお礼を言うことがくるなんて思わなかったけど、僕はもう行くよ」 「え……あのっ」 背を向けようとしたレインに、少女は初めて声を張る。 「わ、私……貴方のお父さんを探すお手伝いを、してもよろしいでしょうか!?」 「…………え?」 レインの動作が止まり、少女へ振り返った。 「関係ない、のに?」 純粋にそう首を傾げれば、少女は顔を逸らして「え? その」と言い淀む。
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