お茶会への招待状

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元を辿れば三日前、司の家にある郵便が届いたところから始まる。全く身に覚えのない郵便物だった上に宛先が聞いたこともない外国からだった為初めは不審に思い警戒していた彼女だったが、よくよく観察すると「怪しい物ではないのでご安心下さい」という一文を発見し胸を撫で下ろして封を開いた。 なんともあ危ない話だが、中に入っていたものはドレスと燕尾服、小物に一通の手紙という怪しくはないが不思議な物だった。 司はそれらをとりあえず床に広げて首を傾けて悩んだあと、恐らく全ての答えが書いてある手紙を手に取った。 拝啓、幸運なアリスへ。 やぁこんにちは。君たちの国ではこういう挨拶をするのだろう? ボンジュールMsツカサ。わたしの名前はメルン。メルン・Я・ブライズだ。単刀直入に言おうと思う。まだ見ぬ友人よ、君をお茶会に招待する。なんで自分なのか不思議だろう? わたしにはこの手紙を見つめて顔をしかめる君の顔が目に浮かぶようだよ。なに、わたしは暇をもてあましていてね。先日床に敷いた世界地図へ向かってケーキを食べるのに使った二股のフォークをおもむろに放ってみたのだよ。そして暇をもてあましたわたしは愚か者な家来に刺さった場所を調べさせた。そこが君の家だったというわけだ。もう衣装は送ってあるから、君の友人も一人誘うと良いよ。何故ならそう、時計ウサギが居ないとアリスは不思議の国にはこれないだろう? 下記の日時に最寄りの空港に来たまえよ。専用の飛行機が君たちをワンダーランドへ連れてってくれるから。 親愛なるアリスへ。会えるのを心待ちにしている。 ハートのクイーンより そう手紙には書いてあった。 そこで司はその日のうちに友人の坂木 響(キョウ)を誘って、今に至るのである。
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