お茶会への招待状

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「飛行機の中で食べたお昼ご飯、すっごく美味しかったよねぇ」 にへっ、と顔を緩めながら語る司であるが案内役である紳士なウサギの響はなかなか抜け出せない迷路にすっかり辟易していた。真壁さんとの二人旅という最高なシチュエーションに初めこそ浮き足立ちもしたのだが、蓋を開けてみれば怪しさしかない危険な内容。どれだけ説得しても一緒に行こうの一点張りな司に、彼は何が起きても真壁さんには傷ひとつつけさせないという決心を胸についてきたはずだった。 だけど今まさに、お茶会に招待されて餓死するかもしれないというとんでも状況に二人はおかれている。アリスの迷った森を模したのだというこの緑の迷宮、右手法という一番ベーシックな迷路攻略法を選んだ二人だったが、かれこれ一時間歩き通しだった。 もしかしたら出口なんて存在しないんじゃないか、このままここから出れなかったらどうしようか等とぐるぐると頭の中を巡る考えをどうにか払拭しようとしていると、不意に頭に押されたような感覚があった。 「あ、響くんかわいい」 そっとハットに手をやると、いつの間に作ったのか鮮やかな花々のブーケが乗せられていた。 響は周りを見渡し、一輪の白薔薇を見つける。 「はい、真壁さんはこれ」 すっごく似合うよ。という言葉を添えてアリスの頭にそっと添えてやる。 いつの間にか、呪いのように頭にこびりついていた最悪のシナリオはどこかへ飛んでいっていた。 緑の迷宮改め花の楽園は二人を鮮やかに包み込み、二人に甘い香りを贈っていた。
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