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「いつもいつもいつもいつも懲りずに飽きずによくトラブルばかり集めてくるな。砂鉄をかき集める磁石か君は。せめて磁石くらいものをより分けろ」
「どうしてくれる」と理不尽に零が言葉を重ねる。
気持ちの動揺を処理しきれない、自分自身に苛立っているようでもあった。
「ご・・・・・ごめんなさい・・・・?」
どう返して良いのか分からなくて、とりあえず謝ってみる。
上目遣いで零の様子を伺うと、驚いたような零の顔がこちらを見下ろしていた。
自分の言いがかりが、まさか受け止められるとは思わなかったようだ。
戸惑うように夜色の瞳を細めると、零が小さくため息をついた。
「お人好しもここまで来ると天晴れだ」
「?」
急速に静められていく怒りにほっとして、でも向けられた言葉の意味が分からずに、鈴は首を傾げた。
「笹丘さん」
やけにはっきりと名前を呼んだかと思うと、零の口角が僅かに上がった。
「謝ったからには、自分の非を認めたんだろうな」
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