1874人が本棚に入れています
本棚に追加
何やら不穏な成り行きに、たじろぐ。
思わず一歩、身を引くと素早く腕を掴まれた。
「だめだよ笹丘さん」
恐いくらい綺麗に笑った零の瞳が、逃げることを許さない。
「せいぜい僕の機嫌を取ってくれ」
零の指先が頬を撫でる。
ぴく、と反応した自分の体が何だか恥ずかしくて、鈴は顔背けた。
「笹丘さん。こっち向いて」
「・・・・」
む・・・・・無理・・・!
零の視線を痛いほど感じて、なんだかひどくいたたまれない。
息が詰まるような緊張感に、鈴は体を硬くした。
最初のコメントを投稿しよう!