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「笹丘さん」
からかうような含みのある声で、零が繰り返す。
機嫌なんかとっくに直しているんじゃないかと、その時ふと鈴は思った。
察したのか、小さく笑う気配がしたかと思うと、いきなり肩を掴まれ引き寄せられた。
「・・・・な」
抗議するよりも早く零の唇が耳元に寄せられ、あろうことかそのまま耳を軽く噛まれた。
「や・・・っ」
何をされたのか理解して、赤くなる。
身を捩って逃れようとするが、腕と肩を掴まれているので思うように動けない。
「動くな」
背けたままの鈴の顔に零が命じる。
指の背で首筋を撫でられて、鈴は思わず目をつぶった。
耳にしたのと同じように、零の顔が近づく気配がすると、鈴の首筋にし
「きゃああああああ」
「わあああああ」
なんだかもの凄く破廉恥な記憶を掘り起こしかけて、声を上げる。
いきなり叫ばれて驚いたのか、気づくと晃二が胸に手を当ててこちらを怯えるような目で見ていた。
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