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皿の割れる音、母を怒鳴る声、母の悲鳴、優翔の鳴き声。
「お父さん!やめてよ!!!」
「あぁ?ガキが俺に口だしてんじゃねーよ!!」
「実桜!離れなさい!」
お母さんは私を父親から引き離した。
「てめーガキ守ったつもりでいんのか?あ?そーゆーのがムカつくんだよ。お前殺してやる。」
「やめて!!!いやぁぁぁぁぁぁ」
父親の声がしたあと、今までにきいたことのない母の悲鳴が聞こえた。
「お母さんっっ!?…っっっ!!!」
「実桜…ゆう…と連れて…にげな…さい…」
「でもっ!お母さんが!!!!」
「はやくっ!!!」
わたしは、その時のお母さんの顔をよく覚えている。お母さんは優しい目で大丈夫と言い聞かすようにしゃべっていた。
私は無我夢中で走った。優翔の手を握って。
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