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そんな涙は気にも留めず、その男は近くにあったタオルを手に取り、満面の笑顔で言い放った。
「名乗り遅れたな。
わしは坂本 龍馬(サカモト リョウマ)ぜ よ。よろしゅう。」
「……。」
絶句。
当然の反応である。
涙は何も言葉を発することが出来ない口をパクパクと動かす。
「なんじゃ?魚のマネでもしちょ るんか?」
「……さかもとりょうま?あ、あ の?」
「わしんこと知っとるきに?」
(え、知ってるも何も坂本龍馬っ てあの“幕末の英雄”の…?)
坂本のくりくりとした目から視線を逸らしながら、涙は曖昧に頷いた。
(ど、同姓同名よね。うんそんな わけない。ありえないありえな い。)
そう懸命に自身に言い聞かせながら、もしやと恐る恐る坂本に聞いてみる。
「今、何年ですか?」
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