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おきさきさまはおうさまのみみにくちびるをよせ、すっといきをすいこみます。するとどうでしょう。
さっきまであんなにうるさかったおとがきれいさっぱりなくなったではありませんか。
「おお、きさきよ。よくやった。さすがわたしのえらんだおんなだ」
おうさまはおおよろこび。そのひのよるはぐっすりとねむることができました。
ですが、つぎのひのちょうしょくどきには、またこえがきこえるようになりました。それも、きのうまでよりもおおきく。
――ごね、ごね。しにょ、しにょ。
「きさきよ。たのむ。またあのおとがしてうるさくてたまらん」
おきさきさまはまたみみにくちびるをあてて、いきをすいます。そうするとなんともふしぎなことにおとはきえるのです。
「やはり、おまえをえらんでせいかいだった。それなのにほかのものときたらどうだ。しらぬぞんぜぬでやくにたちなどしない」
おうさまはいつにもましてふきげんになりました。
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