かわいそうなおうさま

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 おうさまはみみをうたがいます。だいじんがそんなことをいうはずがないのです。  じぶんをあいしてくれているはずのだいじんが、「死ね」だなんていうはずがないのです。 「死ね」  それなのに、だいじんのこえはずっとみみのおくでひびいています。  よくきけばだいじんだけではありません。こっくやそうじふ、とうぎじょうのけんしたちや、いつもえがおのこくみんのこえでさえ、みみのなかでささやいています。  いちどききとれたこえはいつまでもはっきりときこえます。 「いったいこれは、どういうことだ」  おうさまはきぶんがわるくなってきました。 「これはなにかのまちがいだ」  なぜなら、あいされているはずのじぶんが、こんなことをいわれるはずがないのだから。  それでもこえはきこえつづけています。おうさまはこわくなって、おきさきさまをよびました。
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