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「きさき、きさきよ。どこにいる? わたしのところにきなさい!」
おうさまのよびごえに、おきさきさまはすぐにあらわれます。まるではじめからそこにいたみたいに。
「おうさま、わたしはここにおりますよ」
「おお、よくきた。わたしのみみのおくで、だいじんがわたしにぼうげんをはいてくるのだ。はやくなんとかしなさい」
「いわれずともそのつもりでした。ええ、そのつもりでしたとも」
おきさきさまはいつもどおり、おうさまのみみにくちをあて、すうっといきをすいます。
ところがみみのおくではだいじんのこえがまだきこえています。
「きさきよ、どうしたことだ。まだこえがきこえるぞ。はやくなんとかしないか!」
「それはそれは……」
おうさまのうったえに、おきさきさまはにやりとわらいます。
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