かわいそうなおうさま

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 それはあたらしいおきさきさまといっしょのちょうしょくのこと。  このひのさらだには、おうさまのきらいなとまとがはいっていました。 「ええい、なぜとまとがはいっているのだ!」  がしゃん! おうさまはてーぶるをひっくりかえします。 「はやくつくりなおせ。わたしはおなかがへっているのだ!」 「かしこまりました」  こっくはもうしわけなさそうにいい、そうじふはえがおでゆかをそうじします。 「そう、わかればいいのだ」  おうさまがそういったときでした。とおくでだれかのこえがきこえたのです。  ――ごにょごにょ、ごにょごにょ。 「うん? だれかなにかいったか?」  こっくもそうじふもふしぎなかおをして、おうさまのといにこたえます。 「いいえ、わたしどもはなにもいっておりません」 「それではおまえか?」  おうさまはおきさきさまにたずねますが、おきさきさまはかおをよこにふるばかり。  こんなふうに、ことあるごとに、おうさまにはとおくでなにかがきこえるようになったのです。
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