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************** 「全ての始まりは、あの時だ」 なんて、フィクションにありがちな出だしは、的確な表現ではないと私は思う。 なぜなら、その時が成されるまでに必ず何かしらの背景があるからだ。 始点というべきものが主人公の知らないところでなされていただけであって、物事はそう一言二言で語れるものではない。 今この瞬間さえも、生まれた時から、下手をすれば生まれる前から決まっていたことかもしれないのだ。 たとえるなら、糸玉だ。 一本だけでも、長い糸は針を進めるたびに絡まっていきやすい。複数であればその可能性は高まり、糸玉へとなりうる。 同じように、いくつもの事実が絡み合うと、複雑でいびつなものに成り果てる。感情や思惑、謀略次第で、どこまでも変化していく。 なぜ、糸は絡まったのか。 なぜ、あんなことが起こったのか。 未然に防げたのではないか? そんな疑問に囚われるより先に、現状の改善と今後の対策を練る方が先だろう。 だから、物事の始まりを定義することは、ナンセンスとしか言いようがないのである。
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