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「若そうに見えるのに…」
「まだ二十代だ」
また、ツカツカと足音がした。
「失礼しまーす、車用意できたので視察に行きましょう、笛知さま」
笛知の秘書、蘭座の声だった。黒いスーツの似合う彼は、行動すればいつも雨になるので、皆から密かにレインマンと呼ばれている有名人だ。
「あ、世利さんもいたんですねえ、気分転換に一緒に行きます?」
「そんな暇ないです」
「…断るな、話が進まん」
「だってこんな時間!」
ユナは見えない電波時計をビシッと指さした。
「まあまあ、地味派手な黒塗りの車に男二人の夜とか格好つかないんで助けると思って」
よく言うわよ…、とユナは思う。笛知と蘭座がアヤシイとの噂は有名だった。
喧嘩でもしたんだろうか…。
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