姫と王子

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―妃奈side. 人は生きていれば、たくさんの人と接する機会が多い。 その中で馬が合う人、合わない人と分かれる。 つまり、会った全員を好きになることはできない。 私――川崎妃奈にも、どーしても好きになれない相手がいる。 それは……。 「うわっ」 朝、学校へ登校して上履きに履き替える途中でアイツと出会った。 こんな天気のいい朝なのにツイてないな…。 「はあ…」 「何、人の顔見て盛大に溜め息吐いてんだよ」 「別に~?なんだ水瀬かーって思ったら自然と出ただけだから。あ、これはお腹が空くのと同じくらい普通のことだから気にしないで」 「なら俺もお前の顔見たら『ブス』って言ってやるよ。良かったなブス」 「ブス言うなハゲ!」 まったくコイツは…。 女子の私にも手加減なし。 「また始まったねー。『姫』と『王子』の喧嘩」 「もはやもうこの学校の名物だよね、あれ」 「でもあんなに王子と話せて羨ましいかも…」 周りの女子の声の通り、この光景は日常茶飯事。 会っただけで、一目見ただけで悪態をつきたくなる。
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