5人が本棚に入れています
本棚に追加
―妃奈side.
人は生きていれば、たくさんの人と接する機会が多い。
その中で馬が合う人、合わない人と分かれる。
つまり、会った全員を好きになることはできない。
私――川崎妃奈にも、どーしても好きになれない相手がいる。
それは……。
「うわっ」
朝、学校へ登校して上履きに履き替える途中でアイツと出会った。
こんな天気のいい朝なのにツイてないな…。
「はあ…」
「何、人の顔見て盛大に溜め息吐いてんだよ」
「別に~?なんだ水瀬かーって思ったら自然と出ただけだから。あ、これはお腹が空くのと同じくらい普通のことだから気にしないで」
「なら俺もお前の顔見たら『ブス』って言ってやるよ。良かったなブス」
「ブス言うなハゲ!」
まったくコイツは…。
女子の私にも手加減なし。
「また始まったねー。『姫』と『王子』の喧嘩」
「もはやもうこの学校の名物だよね、あれ」
「でもあんなに王子と話せて羨ましいかも…」
周りの女子の声の通り、この光景は日常茶飯事。
会っただけで、一目見ただけで悪態をつきたくなる。
最初のコメントを投稿しよう!