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あっ…
身体が宙に浮いた
それで汽車が線路から外れて横だおれになったことが分かった
「…いッ!!」
窓に思い切り激突して、痛みに顔を歪ませた
状況を把握するために目を開くと、血の気が引いた
窓の外にある景色はまるで崖から落ちるような、そんな景色だった
“死”
鮮明に浮かんできた
さっきまでは思いもしなかった一文字
…死にたくない
そしてまた身体が宙に浮いた。
…死にたくない、死にたくない
耳に響く悲鳴と轟音、雑音
父と母の俺を呼ぶ声
…死にたくない、死にたくない、死にたくない!
何度も身体が浮いた、
もう意識はなかった。
ただただ叫んだ、祈った。
死にたくない
死にたくない
死にたくない
死ぬのが何より怖かった
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