ハイランド王国港町マーラル市

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「いって、テメェ何しやがる!」  右手をさすりながら脇から割り込んできた男――シオンに向けて怒鳴り付ける。 「お前今何をしようとした。俺の女に手ぇだ――」  折角助けてくれたというのに、背後から蹴り倒してしまう淑女が居た。 「あんたこそ間違ったらダメよ。変なこと言わないで、気持ち悪いから」  ギャラリーがざわざわする。「いや、無いだろ色んな意味で」「きっついなアレ」「これ被害者か加害者かわからんな」ざわざわ。ざわざわ。 「なっ、中々やるじゃねぇかお嬢ちゃん。どの船のモンだ?」  何故か一目置かれてしまったりする。一目置くとは囲碁で云々、略。 「別にどこって訳じゃないわ、この格好は好きでやってるのよ」 「そうか、気に入った! 飯おごってやるから付いてこい、何なら海鳥号にこないか?」  片方が言い出したら当然反対も同じ様に言ってくる。度量の示しあいならば野次馬も嫌な顔はしなかった。 「細かいこと言わずに全員付いてこーい!」 「いや、それはないな」  オコラレマシタ。
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