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何だかんだと港町に宿をとったフラウが両隣の関連棟を訪れる。利便性を考えて建てられているそれらは、旅をしている者達に関わりを有した何かを扱っていた。
消耗品を売っていたり、古物を買い入れてみたり、装備の揃えも当然ように並べられている。少し変わったところでは、信用組合が為替を組んでみたり、郵便事業を展開したりしていた。
「姐さん、これ見てよ。スゴいな!」
石盤。遥か昔に文字魔術、マジックサークルの類いが発展していた頃の遺物と言われている。欠片にあたるものが断片的にしか見掛けられず、実際にどうなるかは研究中。
「偽物を造ったりしたらどうにか……」
ゴニョゴニョと不穏な言葉を呟く。聞こえてしまったのか近くの客が笑っていた。
――品揃えは悪くないわ。ということは経済的な問題は少ないわけね、どうして徴兵を続けているのかの背景がこの方面では薄いわね。
武器や防具の類いも高くもなく安くもなく。適正価格と感じられる値札が付いている。つまりそれを扱うことを推進も抑制もしていない証左だろう。
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