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どうやら満足したようで購入を決めると頷いた。壊れたヶ所もなく、確りとしたものらしい。
それを見ていたギャラリーが驚きの声を上げている、かなりの使い手だと見たようだ。
――剣術が五なら槍術もきっと五よね。あたしじゃ全く敵わないわ。
「シオン、あたしの頂戴」
「あいよっ」
背にしている黒塗りの短槍を手渡す、体格的にこれが彼女の限界であった。ショートジャベリン、投げ槍の一種で本来は使い捨ての穂先なのだが、特別に製造させた物である。
「馬上でナイフって訳にはいかないものね」
軽く振ってみて感覚を呼び起こそうとする。近接戦は望むところではあるのだが、馬上では軽戦士の特性は活かせない。
「俺も何か買っとくっす」
パッと見て雑多な品を手にして決めてしまう。これがこの中では一番使いやすいからと。
――目利きだけは一人前よね。あの石盤の欠片も本物って断言してたわ。そういうのを本来特技っていうのよね。
魔装具や特殊なアイテムすらも鑑定してしまう、彼の場合は知識ではなく感覚で。
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