フレイム王国ガルバディオ市

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 マーラルから北上すること三日。街道沿いにあるフレイム王国地方都市ガルバディオ、かつては隣国ファティマ連盟に占領されていた地域である。それは逆と言えるかも知れない、ポトフ王国の軍がガルバディオ地方を奪った際に、ファティマ連盟を立ち上げたからだ。 「ガルバディオよ、あたしは帰ってきた!」  ビシッと指差して二番煎じを堂々と行う。帰ってきた! なんて言っているが、別にここに住んでいたわけでも何でもない。 「国境線に関所もありませんでしたし、ハイランドとは友好関係が強いようですね今は」  おしおが言うように、今はそうかも知れないが、昔は激戦区のひとつであった。街道には砦が築かれ往来が監視されていて、シオンが微笑野郎と言っていた男がその砦の指揮官であった。 「そうっすね。昔のことは知らないっすが」 「あー、あんたは終わりの方だけ参加だったもんねー」  山奥の村で氷浸けになっていたという珍しい奴なのだ。十年以上も時が止まっていた珍獣とは彼のことである。
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