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しゃがみこんで目の前で顔を覗き込んでくる。顔立ちは整っている、どちらかと言えば美人よりは可愛らしいと表した方がしっくりくるだろう。
「な、なんすか姐さん」
「獅子は千尋の谷に我が子を突き落とすんですって」
にこにこしながら不吉な言葉をお吐きになられるではないか。顔をひきつらせシオンはゆっくりと口を開く。
「子作りならきょうりょ――」
ザッパーン。重力以上の何かを受けて海中にとまた沈んでいった。
「どうしますフラウさん、宿を探しにでも行きますか?」
「うーん」
――先に状況把握を軽く済ませるべきかしら?
「あなたたちならどうするかしら?」
「誰に話し掛けてるんですか?」
振り返ったりしてつい確かめてしまう。誰にと言えば読者に……なんてこったい、そんなシステムが! 最初にすべき何かをコメントしたまえ。
「神の視点よ!」
「……はぁ、左様ですか」
腰に履いた剣の柄を撫でながら目を瞑る。待つことにしたようだ、その答えを。
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