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水夫同士が睨みあっている、三人ずつの合計六人。白のセーラーと濃紺のそれだ。セーラーとは水夫や水兵のことなので確り覚えておこう、テストには多分出ない。
「五番桟橋はうちの海鳥号の専用だ、何勝手に使ってやがる」
「ああっ、いつから俺様気取りだテメェ、空いてた場所を使って何が悪いってんだ」
ギリギリ手を出しはしないが、歯を食い縛り眉間にシワを寄せてねめつける。完全に勃発寸前だ。
「十しか桟橋無いのに専用のがあるの? 海鳥号って大型ガレオン?」
隣の野次馬に尋ねてみた。そんなのは入港していなかったはずだが。
「お嬢ちゃん、海鳥号はマストの三十人規模だな。専用ってのもあながち間違いじゃない」
喫水と水深と桟橋のサイズが合わないらしい。嵐の際に海中の岩が集まってしまい、どーのこーのと説明されたが右から左だ。
「そこを使える船が別に現れたわけね。でも他にも空いてるんだから、そこに停泊したら良いじゃないの」
もっともな意見である。そんなことで揉めるより、一本隣に黙って入れば済むのだから。
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