4人が本棚に入れています
本棚に追加
自分の席に行くとジローが何故か座っていた。
彼は、関川 将彦(せきがわ まさひこ)。
ここにきて安直でないアダ名が出てきたわけだが、ジローの場合は何故ジローと呼ばれてるのかわかっていない。
本人も周りも気づけば呼んでいた、という状態だった。
「なにしてんだよ、人の机で」
「・・・・・・一つ気づいたことがある」
俺の話を聞いていないのか、ジローは独り言のように喋りだした。
「女の子って、素晴らしいよな」
ジローは、上の前歯だけを見せるような笑みを浮かべながら、そう言った。
「朝から何を言ってんだよ」
「考えてもみろ。女の子というのはそれ一つだけで完成されているんだ。どこぞの画家も女性の体にはこの世全ての曲線が内包されている、と言っていた真意を今なら理解できる」
答えになっていないし、話も噛み合ってない。
もとよりジローとまともに会話のキャッチボールなんてものは期待はしない。
いわば向こうはピッチングマシンで、俺はキャッチャー。
ボールを投げ返したところで受け取ってくれるわけもない。
そんなことはコイツとの出会いから今に至るまでの日々で思い知らされている。
最初のコメントを投稿しよう!