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「この思いを一言で表すなら、『マロい』だな。丸くてエロい。実にいい響きだ」
朝からコイツは何故こうもテンションが高いのだろう。そんなことも腐るほど考えた。そして考えるのを止めた。
この人型煩悩決戦兵器には意味のない疑問である。
「「おはよう、ジロー!」」
突然響いた黄色い声援の方を見ると、今登校してきたであろう数人の女子がにこやかに朝の挨拶をしてきていた。
もちろん俺にではない。
「あぁ、おはよう」
それに対し瞬時にさっきまでの笑みを消し去り、爽やかな笑顔で応答してみせるジロー。
彼の変態性はここにある。
二面性というのか、普段は人の良さそうな笑顔、常に学年上位をキープする学力で人を魅了する優等生。
もう一面は、特定の人間にのみ見せる極刑レベルの末期変態性大一級性犯罪者予備軍。思想犯が成立するなら全国指名手配ものである。
今もこうして、なにも知らない女子と会話してるが腹の内でナニを考えているかわからない。
正直、想像するのも怖い。
「さて、話の続きをしようか」
キャイキャイ言いながら離れていく女子を尻目に、ジローの表情がガラリと変わる。
なにこの変わり身の速さ。
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