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ダッシュといっても、教室を出てすぐに歩き始めた。
食べかけの弁当を置いて追いかけてくるほど、ジローはギャグに生きていない。
「・・・・・・さて、どうするか」
時間はまだ余りに余っている。どこで暇を潰そうか、非常に悩まされるところである。
いっそ、コンビニでも行こうか―――
「―――ぁだっ」
唐突に右腕に衝撃が走る。
どうやら気づかぬ内に対向者線の人とぶつかってしまったようだ。
「あっ、ごめ・・・・・・」
反射的に振り向き謝罪の言葉が口に出るが、彼女(制服的に見て)はスタスタと歩いていってしまっていた。
・・・・・・謝れとは言わないが、せめて謝らせてほしい。非常にもやもやさせられる。
なんとも気まずい気分に成りつつも、彼女の背中を目で追っていくと、俺が所属する一年五組へと入っていった。
・・・・・・あれ、あんな子いたっけかな?
元々、人の顔と名前を覚えるのが非常に苦手な俺は、いまだにクラスメイトのフルネームと人相が合致しないでいる。
駄目なことだとわかってはいるのだが、中々に難しいことなのだ。
・・・・・・何となく手持ち無沙汰になった右手で髪をグシャグシャと掻き回しつつ、暇潰しの旅を再開することにした。
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