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ペン立てや教科書を置くだけに成りつつある机。
裏に個人的趣味本が押し込まれてある漫画だけの本棚。
中身なんてジャージぐらいしか入っていないタンス。
それらの自室を彩る家具達全部が、上下逆さまになってしまっている。
ついでに言ってしまえば、起きたときから妙に頭が痛い。むしろ頭の痛みで目が覚めた。
さらに言うなら朝に目覚ましが鳴るような時間になっても起きてこない兄を甲斐甲斐しくも起こしにきた、地元の中学校指定の制服を着た妹が扉の向こうにいた。
何故か無言で。
「おい、何で無言なんだよ」
反応はない。
「いや、無視かよ」
答えはない。
「へい、ちーちゃん!」
「キモイよ?」
なおも逆である視界の中、血を分けた兄妹からキモイと言われる朝一番。
目頭が熱くなるぜ。
「いつまでも犬神家みたいな格好してないで、早く起きて朝ごはん食べてね?」
それだけ言うとちーちゃんは部屋を出ていってしまった。
毎日家族全員分の食事と弁当を作る、正統庶民派どこに嫁に出しても完璧なハイスペック妹。
坂上 智恵美(さかがみ ちえみ)、俺の妹である。
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