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女の子の頬が赤く染まっていた
「……あ、あまり真剣にみないでくれたまえ…………」
「でも、観ろって……」
「それは、そうなのだが……そう、真剣に私の人形を見られると……(はずかしいというか……)」
「えっ?」
「なな、なんでもないのだ! よーく観るのだぞ!」
「わ、わかってるよ」
観ろとか言ったり、観ないでとか言ったり、いったいどっちなんだ?
少女が白い玉から出てきたウサギの人形を抱きかかえる
「リア……お願い!」
「っ……!?」
ウサギの人形の口に、炎が凝縮されたような炎の玉が出現した――――………………
《ヴォルカニックヘブン!》
炎の玉が、瞬間的に着火し、あたり一面を、火の海にした――……
「!? り、リア! やりすぎだ!!」
「………………」
スプリンクラーが作動し、天井から雨のように、水が流れる
僕はこの光景を、ただ見つめることだけしかできなかった……
神無月世流 → 稲葉清
「しっかし、マジで誰もいねぇな……。それに、さびぃし……」
今は確か十一月の中旬だ……
冬に入りかけてんのは知ってんけど……この寒さは以上だ……
「ブェックション!! ズズー! あぁ……さびぃ……」
上着として黒色のパーカーと、風防止対策として革ジャンを羽織っているのに、手や足は震え、口からも白い息が出る
手をグーパーし、ちゃんと指が動くことを確認
――零度くらいは余裕であるな……冷蔵庫の中に入れられているような気分だぜ……
ちなみに、さっき警察からもらった遺書
中身は真っ白で、ペンもなにもついていなかったからグシャグシャにして捨ててきた
「着いたか……」
目の前には、黄色の建物に、大きく「世界のラジオ会館」と書かれ、聳え立つ
ラジオ会館 2011年に一度閉館し、二度と開館することはないと思われていたが、最近になって突如開館を果たした、ラジオ会館だ
通称ラジ館だ、「シュタイン○ゲート」のような、人工衛星のようなものがラジ館に墜落したという記録は一切ない
「ここに一人くらいは、誰かいてくれよ……」
願うように口に出し、ラジ館のドアをこじ開けた
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