スタート

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スタート

『私(わたくし)は絶対に貴方を忘れませんわ。何があっても、絶対に忘れません……』  頭部を覆うようにつけているヘッドドレス。胴部をきつく閉めているコルセット。白と黒のゴシック状のフリルの多いドレスを着た少女は身を翻してそう答える (あれ? ここはどこだ……?)  自分がなぜここにいるのかわからない…… 『ありがとうございます……再び会えるその日まで、ずっと待っていますわ……』  パステルカラー状の淡い部屋の中で、少女は優しく、だけど……それでいて悲しそうにそう答える 「まってくれ! 君は誰なんだ!?」 『大丈夫ですわ、また会えますもの……。いつかはわかりませんが……』  少女は、自分に向けて話してはいるが、僕ではない、他の者に向けてしゃっべているようにも見えた (もしかして……) 『そんな、泣かないでください……貴方との別れが寂しい形で終わるのはしのびないですわ……』  僕は泣いてなんかいない……いないけど……どこか悲しい……  でも、なぜかこの光景を見たことがある……――――  そう、たしか――小さい時、僕は誰かと“三つの約束”を交わしたんだ…… (記憶の中の世界?)  ってことはここは夢の世界なのか? 『さあ、時間ですわ……』  少女の姿がだんだんと薄くなる 『貴方が私と交わした三つの約束を忘れなければ……絶対に私は再び貴方の目の前に現れますわ……』 「ま、まってくれ!」  だが、少女の姿は薄くなるばかり 「君は……―――――」  口が続く前に、意識はここでシャットアウトされた――――……
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